
【人の役に立つ犬になってほしい】ファシリティドッグという選択肢
うちの子もそうでした…。
初めてゴールデン・レトリバーを迎えたとき、そのやさしいまなざしと人懐っこい性格に、「この子が人の心を癒すお仕事ができたら素敵だな」と思ったんです。
病院の入り口でファシリティドッグに会ったときの、あの忘れられない光景。
緊張で固まっていた小さな男の子が、犬にそっと手を伸ばして笑顔になった瞬間…。
その光景を目の前で見てからというもの、「うちの子にもそんな力があるかもしれない」と思うようになりました。
あなたも同じようなことで悩んでいませんか?
「うちの犬がファシリティドッグになれるかな」「どうすればなれるんだろう」って、ネットでいろいろ調べてみたり、誰かに聞いてみたくなったり。
実は、ファシリティドッグになるには、特別な訓練や選考が必要なんです。
でも、条件を満たす犬であれば、可能性はゼロではありません。
今回は、ファシリティドッグになるための訓練内容・条件・認定制度について、わかりやすくまとめてみました。
【ファシリティドッグの役割と適性】なぜ特別な訓練や条件が必要なの?
ファシリティドッグは、医療や福祉の現場で心のケアを行う特別な犬です。
病院やホスピス、小児科病棟などで、患者さんやご家族、さらにはスタッフのメンタルをサポートする役割を担います。
そのため、ふつうの家庭犬とはちょっと違う“適性”や“安定性”が求められるんです。
たとえばこんな場面を想像してみてください。
・点滴の管がつながったままの子どものそばに寄り添う
・医療機器の音が鳴る中でも動じない
・つらい治療に耐える人に、そっと顔を近づけて寄り添う
こうした環境で活動するには、非常に高いストレス耐性と、穏やかな性格が必要になります。
また、ただ優しいだけではなく、人の指示にしっかり従いながら、自分で状況を判断する力も求められます。
思い当たる節はありますか?
たとえば、病院の待合室で落ち着いて過ごせる、知らない人に吠えない、抱きつかれても嫌がらない…など、日常の中にも“向き不向き”のヒントがあります。
さらにファシリティドッグは、「ハンドラー」と呼ばれる専任の医療従事者とペアで活動します。
つまり、家庭で飼っている犬を連れていって活動するスタイルではなく、犬もハンドラーも専門機関で訓練を受け、正式に認定される仕組みになっているんです。
ここまで読んで、「うちの子に向いてるかも」と感じた方も、「やっぱり厳しいのかな」と思った方もいるかもしれませんね。
でも、今からできることもあります。
【ファシリティドッグになるには?】訓練内容・条件・認定までの流れを解説
私が以前、ファシリティドッグの訓練施設を見学させてもらったときのことです。
そこには、まだ若いゴールデン・レトリバーたちが静かに訓練を受けていて、まるで「このお仕事が好きなんだよ」とでも言うかのように尻尾をふっていました。
この章では、そんな彼らがどうやってファシリティドッグとして認定されていくのかを、実際の流れにそって紹介しますね。
🐾 ファシリティドッグになるための主な流れ
ステップ | 内容 | 備考 |
---|---|---|
1. 適性のある犬を選定 | 主にレトリバー系(特にゴールデン・ラブラドール) | 性格の穏やかさ・協調性・人懐っこさなどを重視 |
2. 専門施設での訓練 | 約1年〜2年の長期訓練 | パピーウォーカー期間(1年)を含む場合もあり |
3. ハンドラーとのマッチング | 医療従事者である専任のパートナー | 犬とともに現場に常駐・生活も共にする |
4. 現場研修・試験 | 実際の病院での実地トレーニング | 子ども・高齢者・医療器具などへの対応訓練 |
5. 認定・配属 | 認定NPOや団体により正式に認定 | 医療機関に“職員”として勤務開始 |
🐶 訓練内容って、どんなことをするの?
ファシリティドッグに求められるスキルは、かなり細かく専門的です。たとえば…
- 医療器具や車いすに動じない
- 「待て」「おいで」などの基本指示を完璧にこなす
- 小さな子どもに触られても過度に反応しない
- 長時間の活動にも疲れにくい体力・精神力
そして一番大切なのは、「人の感情を読む力」です。
これはトレーニングで完全に教えられるものではなく、犬そのものの資質が大きく関わってきます。
現場で活躍するファシリティドッグの多くは、もともと“空気を読むのが得意な子”だったと聞きます。
🧑⚕️ ハンドラーと暮らす、という特別な形
家庭犬との大きな違いは、ファシリティドッグは一般家庭ではなく、医療従事者であるハンドラーと一緒に生活することです。
つまり「うちの子をファシリティドッグにしたい」と思っても、一緒に住みながら訓練を受けるのはハンドラーになるんですね。
実は私の友人の獣医さんがハンドラーを目指していた時期がありました。
その方もまずは犬のトレーニングを受けながら、自身も専門の教育を受ける必要があり、両方の相性がとても重要だと話していました。
🐕 一般家庭の犬でもチャレンジできるの?
ここが気になるところですよね。
結論から言うと、家庭で飼っている犬がそのままファシリティドッグになるのは、現状では非常に難しいです。
現在日本で活動しているファシリティドッグは、多くが認定団体によって選定・訓練され、ハンドラーと共に現場へ配属されています。
ただし、もし「うちの子が向いているかもしれない」と思ったら、訓練施設やNPOに相談してみるのもひとつの方法です。
また、ファシリティドッグ以外にも、人の役に立つ犬の道はたくさんあります。
たとえばセラピードッグ、訪問介護犬、学校での読書支援犬など…。
その子の性格や特性を活かせるフィールドは、思っている以上に広いんですよ。
もし同じ方法を試すとしたら、まずはあなたの愛犬の「得意なこと・好きなこと」を見つけてあげるところから始めてみてくださいね。
【心と体をつくるごはん】ファシリティドッグに必要な栄養と食生活の工夫
実は、ファシリティドッグのように人の役に立つ活動をする犬たちにとって、日々のごはんは“トレーニングと同じくらい”大切なんです。
うちの子がちょっと情緒不安定だった時期、原因はトレーニングの内容かと思っていたのですが…
実はフードを変えたら、気持ちも体調も安定したという経験があります。
そのとき「ああ、やっぱり“食べるもので体って変わるんだな”」と実感しました。
🍽️ ファシリティドッグに必要な栄養素って?
医療現場で活動する犬には、集中力・持久力・ストレス耐性が求められます。
そのため、次のような栄養素を意識することが大切です。
栄養素 | 働き | 多く含まれる食材例 |
---|---|---|
DHA・EPA(オメガ3脂肪酸) | 脳の働きをサポート・情緒安定 | 青魚、亜麻仁油など |
タウリン | 神経を落ち着かせる・心臓の健康を守る | 魚介類、鶏レバー |
ビタミンB群 | 神経伝達物質の合成を助ける | 肉、卵、全粒穀物 |
トリプトファン | セロトニンの材料(安心感のもと) | 七面鳥、大豆、ヨーグルト |
プロバイオティクス | 腸内環境を整えて免疫力UP | 発酵食品、ヨーグルト |
とくにDHAやEPAは、落ち着いた精神状態や脳の働きのサポートに効果があるとされていて、
ファシリティドッグのような「空気を読む仕事」をする子にとっては、とても心強い味方になります。
🍚 食事で気をつけたいポイント
ファシリティドッグは活動時間が長くなることもあるので、血糖値が安定するような食事内容も意識したいですね。
また、消化に負担がかかる食材や、添加物の多いフードは避けた方がベターです。
私の友人のところでは、「活動日には消化が良く、栄養価の高い“特別メニュー”を与えている」と話していました。
たとえば、サーモンと野菜を煮込んだリゾット風ごはんに、少量の亜麻仁オイルを加えていたそうです。
こんなふうに、“がんばる日用”のごはんと、“オフの日用”のごはんを分けて考えるのもおすすめですよ。
🐶 食べ方にも注目!心の変化を見逃さないで
ファシリティドッグの訓練中や活動中、「なんだか最近、食いつきが悪いな…」と思ったら、
心の疲れやストレスのサインかもしれません。
実際に、見学させてもらった施設では、犬たちの食欲・排泄・睡眠などを毎日細かく記録していました。
それによって、ちょっとした変化にもすぐに気づけるんです。
ごはんは、体だけでなく心の状態も映し出すもの。
あなたの愛犬の“いつも通り”が少しでも変わったら、やさしく声をかけてあげてくださいね。
やっぱり、食べるもので体って変わりますよね。
あなたの愛犬のごはん、どんな工夫をしていますか?
【焦らず、できることから】あなたと愛犬のペースで歩めば大丈夫
ファシリティドッグについて調べれば調べるほど、
「やっぱり特別な存在なんだな」「うちの子には難しいかも」と感じた方もいるかもしれません。
でも、どうか自信をなくさないでくださいね。
大切なのは、“人の役に立つかどうか”よりも、愛犬とあなたがどんな毎日を過ごしているかなんです。
うちの子も、ファシリティドッグにはなれませんでした。
けれど、散歩中に近所の子どもたちが「ワンちゃん触っていい?」と寄ってきて、
ふわっとしたその体に頬を寄せる姿を見るたびに、
「この子はこの場所で、ちゃんと誰かを癒してるんだな」と思えるようになりました。
もし、ファシリティドッグを目指したいと思うなら、
まずは今日の散歩をちょっと丁寧に。
人とのふれあいや環境への反応を観察してみることから始めてみてください。
焦らず、できることから少しずつ。
愛犬の可能性は、まだまだこれから広がっていくはずです。
あなたのやさしい気持ちが、きっと愛犬にも伝わっていますよ。
その心がある限り、あなたの犬はもうすでに「誰かの支え」になっているのかもしれません。
👉 なお、すべての犬に共通するわけではありません。個体差がありますので、様子を見ながら無理のない範囲で試してくださいね。