
「うちの子にも何かできるかも?」ファシリティドッグとの出会い
「病院に犬がいるんだって」——最初にその話を聞いたとき、私は驚きと同時に、心がじんわり温かくなったのを覚えています。
それはまだ、愛犬のラブ(ラブラドール)を迎えて3年目くらいのころでした。
ラブは人懐っこくて穏やか、そして子どもが大好き。近所の公園で会う子どもたちともすぐに仲良くなり、「こんな子が誰かの力になれたらいいのに…」と思ったことが、何度もありました。
そんなときに出会ったのが、「ファシリティドッグ」という存在でした。
「セラピードッグとは違うんだよ」と教えてもらい、「え、どう違うの?」「日本にもいるの?」と、疑問が次々にわいてきたのを思い出します。
あなたも同じようなことで悩んでいませんか?
「うちの子、誰かの役に立てるかも」「でも、どうやって?」と感じている方に、ぜひ読んでいただきたいお話です。
ファシリティドッグとセラピードッグの違いをやさしく解説
「セラピードッグとファシリティドッグって、同じようなことをしているんじゃないの?」
実は、私も最初はそう思っていました。でも、詳しく調べてみると大きな違いがあることに気づいたんです。
どちらも人の心を癒すという共通点はありますが、活動の場・目的・トレーニングの深さなど、いろいろな点で異なります。以下の表にまとめてみました。
項目 | ファシリティドッグ | セラピードッグ |
---|---|---|
活動場所 | 医療機関(小児病棟など)に常駐 | 病院・老人ホーム・学校などへの訪問 |
同伴者 | 専任のハンドラー(医療資格を持つ職員) | ボランティアの飼い主が同行 |
トレーニングの内容 | 高度で専門的(医療現場に特化) | 基本的な社会性と落ち着きが重視される |
活動時間 | 平日毎日(業務として常勤) | 週に1回〜月に数回(任意) |
役割 | 患者と深く関わり、治療の一環として貢献 | 一時的な癒しや交流を提供 |
日本での認知度 | まだ一部の病院に限られる | 比較的広く知られている |
こうして見ると、ファシリティドッグは“病院スタッフの一員”として働く犬であり、**セラピードッグは“訪問で癒しを届ける犬”**という位置づけになります。
どちらが優れているというわけではなく、目的と体制が違うんですね。
思い当たる節はありますか?
「うちの子は人が大好きだけど、毎日通うのは難しいかも」とか、「うちの子なら、訪問型から始められるかも」など、少し想像が広がってきた方もいるかもしれません。
実際に、日本でファシリティドッグがどのように活動しているのか、次の章でご紹介していきますね。
そこには、犬と人との信頼に満ちた、温かくて力強い現場がありました。
日本におけるファシリティドッグの現状と広がり
日本でファシリティドッグが初めて導入されたのは、2010年、静岡県の県立こども病院でした。
そこに常勤したのが、ゴールデンレトリバーの「ベイリー」。そして彼をハンドリングしていたのが、医療資格を持つ看護師さんでした。
「犬が病院で働く」——それだけでも当時は画期的なことでしたが、実際に活動が始まると、子どもたちへの影響は目に見えて現れました。
点滴や処置を怖がっていた子どもが、ベイリーのそばだと安心して受けられるようになったり、
言葉が出にくくなっていた子が、ベイリーに向かって自然に話しかけたり……。
「ベイリーに会いたいから、治療をがんばる」
そう話す子もいたそうです。
ファシリティドッグは、単なる“癒しの存在”ではなく、心のバリアをやさしくほどく存在。
そして、それが医療現場にどれほど力を与えるかが、少しずつ知られるようになってきました。
ただし、日本ではまだまだその数は限られていて、2025年現在でも常勤しているファシリティドッグは数頭のみです。
主に小児がんや重い病気の治療に取り組む病院に限られており、誰でもすぐに関われるものではありません。
とはいえ、支援団体の活動や認知が少しずつ広がり、「ファシリティドッグって何?」という声から、「応援したい」「私たちにできることは?」と変化してきているのを感じます。
犬と一緒に、誰かの支えになりたい。
そう考えるあなたにも、きっとできることがあるはずです。
「うちの子にできること」体験談と犬と一緒に社会貢献する方法
実は私自身、「ラブとうちで何かできることはないかな」と思い始めたのは、ファシリティドッグのことを知ってから数年後のことでした。
当時、我が家のラブは7歳。性格はますます穏やかで、初対面の人にも優しく寄り添えるような子でした。
でも、病院に常勤するファシリティドッグには、厳しいトレーニングやハンドラーとの関係構築が必要で、現実的にすぐには難しいと感じていました。
そんなとき、私が出会ったのがセラピードッグとしてのボランティア活動でした。
🌼実際に体験した「セラピードッグ訪問活動」
地域の動物福祉団体が主催している講習会に参加し、そこで「セラピードッグ適性チェック」を受けることに。
内容は、他の犬がいても落ち着いていられるか、大きな音に動じないか、人に触れられることを嫌がらないかなど、基本的な項目ばかりでした。
幸い、ラブはすべてクリア。そこから数ヶ月に一度、地元の高齢者施設や小学校への訪問活動を始めることができました。
「この子に会うのが楽しみでね」
「うちの孫みたいで可愛いのよ」
そんな言葉をもらうたびに、胸がいっぱいになりました。
📝犬と一緒に社会貢献するためのステップ
ここで、もしあなたも「うちの子にも何かできるかも」と思ったなら、こんな流れを参考にしてみてくださいね。
- 性格チェック
まずは、あなたのわんちゃんが人や他の動物、環境に対してどう反応するかを観察しましょう。 - 地域の団体を探す
「セラピードッグ ボランティア + お住まいの地域」で検索すると、登録制の団体や研修プログラムを提供している団体が見つかります。 - 適性審査・講習会に参加
多くの団体では簡単なテストとマナー研修があります。犬だけでなく飼い主さんにも心構えが必要です。 - 施設訪問・イベント活動
小規模なイベントからスタートできることが多いので、無理のない頻度での参加が可能です。 - SNSやブログで発信も立派な貢献
実際に体験して感じたことをシェアすることで、活動の認知を広げることも大切な支援になります。
もし同じ方法を試すとしたら、どのステップから始められそうですか?
もしかしたら、あなたのわんちゃんの「得意」を活かせる別の形があるかもしれません。
次は、こうした活動を支えるために大切な「日々の食事や体調管理」について、お話ししていきますね。
食事の大切さと犬のコンディション管理〜活動の土台をつくる栄養の工夫〜
セラピードッグやファシリティドッグとして人と関わる活動をする上で、実はとても大切になるのが、日々の食事と健康管理です。
どれだけ性格が穏やかで優しくても、体調がすぐれない状態では、本来の力を発揮することはできません。
特に他人と触れ合う活動では、体調の安定=信頼の源になります。
うちのラブも、セラピードッグとして活動していたころは、体調のちょっとした変化にも気を配るようにしていました。
たとえば…
- 「最近、毛ヅヤが悪くなったかな?」
- 「ごはんを残す日が増えたかも?」
- 「うんちが少し柔らかい?」
こういったサインがあれば、食事内容を見直す合図かもしれません。
🍚どんな食事を心がけていたか?
私が意識していたのは、以下の3点です:
工夫したポイント | 内容 |
---|---|
消化に良い食材を選ぶ | 特に活動の前日・当日は、お腹に優しいメニューを意識 |
抗酸化成分を意識する | ビタミン類、オメガ3脂肪酸などで免疫力をキープ |
食いつきだけで選ばない | 好きなものだけでなく、バランスを重視して選択 |
もちろん、ドライフードをベースにしつつ、体調に合わせてトッピングを工夫したり、手作りのスープを加えたりもしました。
やっぱり、食べるもので体って変わりますよね。
ラブも、しっかり食事のバランスがとれているときの方が、毛ヅヤも良く、表情がとてもやわらかくなるんです。
あなたのわんちゃんは、最近どうですか?
食事の内容や体調に、気になる変化はありませんか?
人と関わる活動に参加したいと思ったときこそ、まずは愛犬の心と体の健康をしっかり支えることから始めてみてくださいね。
犬と社会をつなぐやさしい架け橋に〜ファシリティドッグから学ぶこと〜
この記事をここまで読んでくださったあなたは、きっととてもやさしくて責任感のある飼い主さんだと思います。
「うちの子にも、誰かの役に立てる力があるかもしれない」
そう思ったその気持ち自体が、すでに第一歩なんです。
ファシリティドッグは、医療の現場で子どもたちに寄り添い、治療の苦しみや不安を少しでもやわらげるパートナーとして日々奮闘しています。
数は少なくても、その存在は確実に多くの人の人生に温かい灯りをともしています。
一方で、セラピードッグや地域のボランティア活動も、もっと身近な場所で、犬と人との絆を育む大切な役割を担っています。
犬と一緒にできることは、形こそさまざまですが、どれも「愛と信頼」が土台になっているという点では共通です。
そして、それを支えるのは、毎日の健康管理や愛情のこもったお世話にほかなりません。
焦らず、できることから少しずつ。
たとえば、近所のお年寄りとわんちゃんであいさつを交わすこと。
お子さんの友だちに「この子、やさしいね」と言ってもらえること。
そういった小さな一歩も、立派な“セラピー”なのだと思います。
あなたと、あなたの大切なわんちゃんが、誰かにとっての“心の癒し”となれますように。
その可能性を、どうか信じてくださいね。
👉 なお、すべての犬に共通するわけではありません。個体差がありますので、様子を見ながら無理のない範囲で試してくださいね。