高齢犬のお腹が膨らむ原因って、いろいろあるんですよね。
うちの子も最近お腹がポッコリしてきて心配です。
そうじゃのう、早めに原因を見つけることが大切じゃな。
犬も年を取ってくると、人間と同じく中年太りでお腹がポッコリしてしまいます。
しかし、お腹が膨らんで張ってしまう原因は運動不足や食べ過ぎによる肥満だけではありません。
膨らんだお腹を触られて痛がったり、腹痛で苦しんでいたら病気の可能性もあります。
放っておくと命の危険性がある病気も隠されているので、早めの原因究明が大切です。
今回は、高齢犬のお腹が膨らむ原因と理由、解決方法をお伝えしていきます。
お腹が膨らむ原因
高齢犬のお腹が膨らむ原因って、どんな病気があるんですか?
うーん、肥満以外に思いつかないけど、他に何があるの?
ああ、いろいろあるんじゃよ。副腎皮質機能亢進症や胃拡張、腫瘍など、気をつけんといかんのう。
お腹が膨らんだり張ってしまう病気はいくつかあります。
- 副腎皮質機能亢進症
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- 胃拡張、胃捻転
- 腫瘍
- 偽妊娠(想像妊娠)
これらの症状で早めに対処しなければならない病気もありますので、気をつけましょう。1つ1つ解説していきます。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は老犬に多い病気で、ホルモンのバランスが崩れることでお腹が膨らむんだよ。
ホルモンの問題でお腹が膨らむなんて、びっくりです!
そうじゃ、適度な運動と食事の見直しが大事じゃのう。
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症は内分泌系の病気です。
この病気は、老化による消化器や新陳代謝の衰えから脂肪が蓄積されお腹が膨らんでしまいます。
肥満の症状と似ていますが、これらは内因性の肥満でホルモンの異常から起こるホルモン性肥満なのです。
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症は、食事でとりこんだ糖質が体内で上手に消化できずに脂肪が肝臓に蓄積されます。
その蓄積が積み重なれて肝臓が大きくなり、お腹が膨らむ原因となるのです。
改善方法は、適度な運動と良質な食事です。特に高齢犬の場合は若い頃に比べ運動してもなかなかカロリーが消費しずらくなります。
また栄養バランスや食べ過ぎないように管理してあげることも大切です。
胃拡張・胃捻転
胃拡張や胃捻転は、特に大型犬で見られる緊急事態なんだ。
食後の運動には気をつけなきゃですね!
うむ、食事の後は静かにしておくのが一番じゃな。
胃拡張・胃捻転は、食後の急な運動で、胃や周辺の器官がねじれてしまい、おなかの中に空気が溜まって膨らんでしまう症状です。
この病気は大型犬によくみられます。
症状としては、腹部膨張による苦しみが物凄く強いので、すぐに気づきます。
腹部だけが不自然に膨張しているときは、腹水に液体が溜まっている恐れがあります。
愛犬のお腹が腫れていて痛がっているようであれば、すぐに獣医師に相談しましょう。
腹水にたまる液体は、浸出液と露出液があります。
浸出液は、お腹の内部で発生する腹膜炎や腫瘍が悪化によってでてきます。
腹膜炎の原因は、細菌感染とガンによるものがあります。
ガン性の腫瘍の場合は放置してしまうと、どんどん悪化してしまうので、獣医師に相談して適切な処置をしましょう。
外部での症状は、老犬によくある床ずれで発生する炎症や怪我などがあります。
露出液とは、体のタンパク質の低下によって血管から水分が漏れ出す症状です。
老犬になるとタンパク質の吸収が減少してしまい、足りなくなってしまいます。
タンパク質が不十分になると、血管の壁から水分が漏れてしまうのです。
またタンパク質が足りなくなると、身体の免疫力が落ちたり、体の筋肉から補おうとします。
老犬にとってタンパク質の減少は体の維持機能が低下し、老化が加速してしまいます。
また高齢犬は若い頃よりもタンパク質が1.5倍ほど必要といわれています。
普段の食事から良質な量のたんぱく質を摂取することが、健康面や腹部膨張対策に必要不可欠なのです。
腫瘍
腫瘍が原因でお腹が膨らむこともあります。早期発見が重要です。
腫瘍って怖いけど、どうやって気づけばいいの?
毎日触って異常がないか確認することが大切じゃぞ。
腫瘍がお腹の中にできると、その腫瘍の塊がお腹を圧迫して腹部が膨らんでしまいます。
腫瘍は、お腹の発生した部位によって膨張する場所が違ってきます。お腹の表面に近い場所であれば、すぐに特定できます。
逆に奥にできた腫瘍になると、他の臓器を押し上げて腹部一帯が膨らんでしまいます。
腫瘍による腹部膨張は、ガンが進行して大きくなっている可能性があります。すぐに動物病院へ連れていきましょう。
偽妊娠(想像妊娠)
偽妊娠はホルモンの影響で、妊娠していないのにお腹が膨らむ症状です。
うちの犬もそんなことがあるかもしれないんですね。
そうじゃ、特に未避妊の雌犬は要注意じゃのう。
偽妊娠は人間の想像妊娠と同様に、妊娠していないのに胸や腹部が膨張する症状です。
これは犬の黄体ホルモンが影響しています。
犬は他の動物よりも発情した後も長い期間黄体ホルモンが作用しています。
そのため妊娠していてもいなくても、発情の状態を持続させてしまうのです。
そうなると胸が大きくなってお乳がでるように発達してしまうので、お腹が膨らんだようにみえるのです。
不妊手術をしていない雌イヌのお腹が膨らんで張っているのであれば、まず偽妊娠を疑いましょう。
高齢犬のお腹が膨らむ原因別の対策
お腹が膨らむ原因を特定したら、適切な対策が必要です。運動と食事管理が基本ですね。
やっぱり運動と食事の管理が大事なんですね。
その通りじゃ、適切なケアをすれば健康を維持できるんじゃよ。
高齢犬のお腹が膨らむ原因には様々な病気や状態が関係していることがわかりました。
では、具体的な対策について詳しく見ていきましょう。
原因 | 対策 | 説明 |
---|---|---|
副腎皮質機能亢進症 | 薬物療法、適切な食事管理 | ホルモンバランスを調整し、適切な食事を与える |
甲状腺機能低下症 | 甲状腺ホルモン補充薬、定期的な血液検査 | ホルモンの補充と定期的なチェックが重要 |
胃拡張、胃捻転 | 食事の管理、食後の運動を避ける、緊急手術 | 食後の激しい運動を避け、食事量を管理し、緊急時には手術が必要 |
腫瘍 | 定期健診、手術、化学療法 | 早期発見が重要で、適切な治療を行う |
偽妊娠(想像妊娠) | 環境の安定、必要に応じたホルモン療法 | ストレスを避け、リラックスできる環境を提供 |
運動と食事の見直し
高齢犬の健康を維持するためには、適度な運動とバランスの取れた食事が重要です。
肥満や内分泌系の病気を防ぐために、日常的に取り入れたいポイントを以下にまとめます。
- 毎日の散歩: 短時間でも毎日散歩をすることで、代謝を促進し、肥満を防ぎます。
- バランスの良い食事: 高齢犬用のフードを選び、タンパク質やビタミンが豊富な食事を心がけましょう。
- 水分補給: 十分な水分を与えることで、消化を助け、代謝をサポートします。
定期的な健康チェック
高齢犬は定期的に獣医師の診察を受けることが重要です。
早期発見・早期治療が命を救うことも多いです。
- 定期健診: 少なくとも半年に一度は健康診断を受けましょう。
- 血液検査: 内分泌系の病気を早期に発見するために、血液検査を行うことが推奨されます。
- 体重管理: 日々の体重測定で急な変化に気づくことができます。
甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢進症の治療法
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は内分泌系の病気であり、適切な治療が必要です。
治療方法は病気の種類や進行度によって異なりますが、以下に一般的な治療法を紹介します。
甲状腺機能低下症
- 薬物療法: 甲状腺ホルモンを補う薬が処方されます。適切な薬の投与によって症状が改善されます。
- 定期的な血液検査: 血中のホルモン濃度を定期的にチェックし、薬の量を調整します。
副腎皮質機能亢進症
- 薬物療法: 副腎皮質ホルモンの過剰分泌を抑える薬が使用されます。
- 手術: 腫瘍が原因であれば、手術によって腫瘍を摘出することもあります。
- 定期的なフォローアップ: 症状の進行を防ぐために、定期的な診察が必要です。
胃拡張・胃捻転の予防と治療
胃拡張や胃捻転は緊急を要する状態です。
特に大型犬に多い病気であり、早期の対策が重要です。
予防策
- 食事の管理: 大型犬には一度に大量の食事を与えず、少量を数回に分けて与えます。
- 食後の運動を控える: 食後1時間以内は激しい運動を避けることが重要です。
- 食器の高さを調整: 高さを調整することで、空気の飲み込みを防ぐことができます。
治療法
- 緊急手術: 胃捻転が発生した場合、緊急手術が必要です。胃を元の位置に戻し、ねじれを解消します。
- ガストロペクシー: 再発を防ぐために胃を腹壁に固定する手術が行われることもあります。
腫瘍の早期発見と治療
腫瘍は早期発見が重要です。
定期的な健康チェックと迅速な対応が求められます。
予防と対策
- 触診: 日常的に犬のお腹や体を触ることで異常に気づきやすくなります。
- 画像診断: レントゲンや超音波検査によって内部の異常を確認します。
治療法
- 手術: 腫瘍の摘出が可能であれば、手術によって取り除きます。
- 化学療法: 手術が難しい場合や再発防止のために、抗がん剤治療を行います。
偽妊娠の対応方法
偽妊娠はホルモンのバランスによって引き起こされますが、特別な治療が必要ないことが多いです。しかし、症状が重い場合は以下の方法を検討します。
対応策
- 環境の安定: ストレスを避け、リラックスできる環境を提供します。
- ホルモン療法: 症状がひどい場合には、獣医師の判断でホルモン療法が行われることもあります。
高齢犬のお腹が膨らむ原因を予防する方法
予防が一番の対策です。定期的な健康チェックが重要ですね。
やっぱり定期的に獣医さんに診てもらうのが安心ですね。
うむ、早めの対応が大切じゃ。毎日のケアも欠かさないようにな。
高齢犬のお腹が膨らむ原因となる病気や状態を予防するためには、日常的なケアと早期の対応が重要です。
以下に、具体的な予防方法を紹介します。
日常の健康管理
- 定期的な健康チェック: 半年に一度は獣医師による健康診断を受けるようにしましょう。早期発見が重要です。
- 体重管理: 愛犬の体重を定期的に測り、急激な増減がないか確認します。肥満防止と健康維持に繋がります。
- 適度な運動: 毎日の散歩や軽い運動を続けることで、筋力を維持し、内臓脂肪を減らします。
食事の見直し
- バランスの取れた食事: 高齢犬用のフードを選び、適切な栄養バランスを保つようにしましょう。
- 食事量の管理: 食べ過ぎを防ぐために、食事の量を適切に管理し、過剰なカロリー摂取を避けます。
- 水分補給: 十分な水分を与えることで、消化を助け、代謝を促進します。
早期対応の重要性
- 異変に気づく: 日常的に愛犬の行動や体調を観察し、異変に気づいたら早めに獣医師に相談しましょう。
- 適切な治療: 病気の兆候が見られた場合は、早期に適切な治療を行うことが重要です。放置すると症状が悪化する可能性があります。
愛犬との絆を深めるケア
高齢犬の健康を守るためには、飼い主との信頼関係が不可欠です。以下に、愛犬との絆を深めるためのケア方法を紹介します。
スキンシップを大切に
- 毎日の触診: 愛犬の体を優しく触り、異常がないか確認しましょう。これにより、腫瘍や腹部の異変に早く気づくことができます。
- ブラッシング: 毎日のブラッシングで皮膚の状態を確認し、リラックスさせます。
一緒に過ごす時間を増やす
- 遊びの時間: 一緒に遊ぶことで、愛犬の運動不足を解消し、ストレスを軽減します。
- リラックスした時間: 一緒にリラックスする時間を設け、安心感を与えましょう。
まとめ
高齢犬のお腹が膨らむ原因は、病気やホルモン性肥満、偽妊娠などさまざまな要因によって引き起こされます。
高齢犬は体の機能の衰えから病気や肥満になりやすくなりますが、早期発見と適切な対策が重要です。
毎日の健康管理やバランスの取れた食事によって事前に予防、改善することが可能です。
また、日常のケアや定期的な健康チェックを欠かさず行い、愛犬との絆を深めるケアを大切にし、健康で幸せな日々を過ごせるように努めましょう。
飼い主としての責任を果たし、愛犬の健康を守ってあげることが何よりも大切です。
愛犬が健やかに過ごせるよう、常に注意を払いましょう。