犬もシニアと呼ばれる年齢(7歳以降)になると、さまざまな病気のリスクが増えていきます。
老化による内臓機能の衰えや、新陳代謝の低下による身体の不調など、愛犬の様子が普段と違っていたり、元気がない状態だと不安になりますよね。
いつまでも健康的なわんちゃんでいて貰うには、シニア期によく見られる病気や疾患を把握して、日頃から気にかけてあげることも大切です。
そこで今回は、高齢・老犬によくある病気についてお伝えしていきます。
高齢・老犬によく見られる病気
シニア犬に多い病気としては、歯周病や白内障、心臓病が代表的ですね。
そんなに多くの病気があるんですね。どれも怖そうです。
うむ、若いうちからのケアが大事じゃのう。
愛犬の普段の運動量や食事、犬種によってシニア期にかかりやすい病気はさまざまです。
一般的にシニア期にかかりやすいとされている病気をご紹介します。
歯の病気
飼い主さんが「愛犬の状態が変」と感じる一番の病気が、歯の疾患です。特に歯周病は老犬によくある歯の病気です。
歯の汚れから、さらに悪化すると、歯を支えている顎の骨が腐ってしまいます。
歯の周辺の歯周ポケットから膿が出ます。
歯がぐらぐらしたり、抜けてしまうこともあります。
歯周病になると、犬は食事を摂りづらくなったり、痛みで食べられなくなることもあります。
歯周病が進行すると、内臓にまで菌が侵入してしまい、肝臓、心臓、腎臓などの臓器に問題を引き起こすこともあります。
歯周病は老犬にとって寿命を縮める酷い原因ですので、すぐに動物病院や獣医師に連れて行ってあげてください。
目の病気
犬はもともと視力が弱く、あまり見えていません。
さらに目の病気によって全く見えなくなってしまうこともあります。
高齢・老犬によくある白内障では、人間と同じように、目の水晶体が白く濁ってしまう病気です。
白内障の主な原因は、老化による目の衰えです。
飼い主さんが気付かないことが多く、進行してしまって気づくこともあります。
普段からの検診で、目の異常がないかチェックしてもらってください。
心臓病
小型犬にみられる僧帽弁閉鎖不全症が、シニア期になると発覚します。
散歩や運動などで心臓に負担がかかると疲れやすくなり、呼吸も「ガーガー」という感じで、特徴的な咳をします。
病気が悪化・進行すると心不全を起こしてしまうこともあります。
普段からの検診で心臓に問題がないかどうかチェックしてあげてください。
僧帽弁閉鎖不全症は、病状が進行する前に食い止めることが必要な心臓の病気です。
骨や関節の病気
犬も年齢を重ねるにつれ、骨や関節が脆くなったり、擦り減ってしまいます。
老化によって骨自体が弱くなり、靭帯を傷め、関節軟骨の衰えから病気や怪我の原因となりやすいのです。
よくある慢性関節炎では、犬は脚の違和感を感じたり、庇うような仕草をします。
初期症状では、たまに脚を気遣うくらいで、散歩などでは普段通りなので、見過ごしてしまうこともあります。
高齢・老犬にはよくある病気が関節や骨の問題です。
普段から肥満になっていないか体重に気をつけてあげたり、動物性たんぱく質の高い食事を摂らせてあげてください。
また、高齢・老犬には関節用のサプリメントを飲ませてあげることも大切です。
神経疾患
高齢・老犬にみられる運動機能の低下があります。
愛犬の活動量が減って、元気がない状態のときには、神経疾患を疑ってみてください。
運動に関係する神経疾患の場合、最初は愛犬の行動量が減ったくらいにしか思えず、判明しづらいです。
運動機能の低下による痛みや違和感はないのです。症状が進行してから歩き方が変だったり、歩行に異常がみられます。
少しでも愛犬の歩行に違和感を感じたら、症状の軽いうちに治療をしてあげる必要があります。
腫瘍
腫瘍は犬によく見られる症状です。
特にメス犬の場合は、避妊していない場合、乳腺腫瘍になりやすいとされています。
基本的に乳腺にできた腫瘍は、乳腺ガンになってしまっています。
腫瘍やしこりなどの違和感があったら、すぐに動物病院や獣医師にみせてあげてください。
高齢・老犬で避妊手術をしていない場合は、子宮や卵巣の異常も高まります。
腫瘍やガンにならないためにも、若いうちに避妊手術をうけてリスクを減らすことが大切です。
消化器系の病気
シニア犬は消化器系のトラブルも増えてきます。
下痢や嘔吐が頻繁に起こる場合、消化器系の病気を疑ってください。
食事の内容を見直し、消化の良いフードを選んであげることが大切です。
定期的に獣医師の診察を受けることで、早期に対応できます。
肝臓・腎臓の病気
老犬になると、肝臓や腎臓の機能も低下してきます。
尿の色が変わったり、頻尿になったりする場合は、肝臓や腎臓の異常を疑ってください。
早期発見のために定期的な血液検査を受けることが推奨されます。
皮膚の病気
皮膚のかゆみや湿疹、脱毛などの症状が見られる場合、皮膚病を疑ってください。
老犬は免疫力が低下しているため、皮膚のトラブルも起こりやすいです。
定期的なシャンプーやブラッシング、適切な食事による皮膚ケアが重要です。
泌尿器系の病気
シニア犬は泌尿器系のトラブルも増えます。
特に尿路感染症や尿結石がよく見られます。
頻繁に排尿をしたがる、排尿時に痛みを感じる様子がある場合は、泌尿器系の異常を疑ってください。
早期に獣医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
また、水分摂取量を増やし、バランスの取れた食事を心がけることで予防につながります。
内分泌系の病気
シニア犬に多い内分泌系の病気には、糖尿病や甲状腺機能低下症があります。
糖尿病では、水を大量に飲み、頻繁に尿をするようになります。
また、体重が減少し、疲れやすくなることもあります。
甲状腺機能低下症では、活動量が減少し、体重が増える傾向があります。
これらの病気は、血液検査で早期発見が可能ですので、定期的な健康診断を受けることが重要です。
食事管理の重要性
シニア犬の健康を保つためには、適切な食事管理が欠かせません。
老犬専用のフードを選び、必要な栄養素をバランス良く摂取させることが大切です。
特に、関節や内臓の健康をサポートする成分が含まれたフードを選ぶと良いでしょう。
さらに、過体重にならないように適切なカロリー管理を行い、運動不足を防ぐために適度な運動を取り入れてください。
サプリメントの利用
高齢・老犬の健康をサポートするために、サプリメントの利用も有効です。
関節サポートのためのグルコサミンやコンドロイチン、免疫力を高めるビタミンや抗酸化物質など、犬の状態に合わせたサプリメントを選びましょう。
ただし、サプリメントの過剰摂取は逆効果になることもあるため、獣医師と相談しながら適切な量を与えるようにしてください。
定期的な健康チェック
老犬の健康を維持するためには、定期的な健康チェックが欠かせません。
年に一度の健康診断だけでなく、異常を感じたらすぐに獣医師に相談することが大切です。
早期発見・早期治療が老犬の寿命を延ばし、質の高い生活を送らせるための鍵となります。
主な病気とその症状・対策
高齢・老犬に多い病気とその症状、日頃からの対策は以下の通りです。
病気 | 主な症状 | 日頃からの対策 |
---|---|---|
歯周病 | 口臭、歯ぐきの腫れ、歯のぐらつき、食欲不振 | 定期的な歯磨き、歯科検診、適切な食事 |
白内障 | 目の白濁、視力低下、歩行時のつまずき | 定期的な目の検診、抗酸化物質の摂取 |
心臓病 | 疲れやすい、咳、呼吸困難 | 適度な運動、心臓に優しい食事、定期検診 |
関節炎 | 歩行のぎこちなさ、脚の痛み、運動嫌い | 体重管理、関節サポートサプリメント、適度な運動 |
尿路感染症 | 頻尿、血尿、排尿時の痛み | 十分な水分摂取、バランスの取れた食事、定期検診 |
腫瘍 | しこり、食欲不振、元気がない | 定期的な触診、早期の獣医師相談、健康診断 |
糖尿病 | 多飲多尿、体重減少、疲れやすい | 適切な食事管理、定期的な血糖値検査 |
甲状腺機能低下症 | 活動量低下、体重増加、被毛の質の低下 | 定期的な血液検査、適切なホルモン補充療法 |
まとめ
高齢・老犬になると、さまざまな病気のリスクが高まります。
普段からのケアと定期的な健康チェックを行うことで、病気を早期に発見し、適切に対処することが大切です。
愛犬の健康を守るために、日々の生活習慣や食事、運動、そして定期的な獣医師の診察を欠かさず行いましょう。
今回ご紹介した病気以外にも、内臓系や泌尿器系の病気、脳梗塞やてんかんなど、人間と同じように疾患のリスクはあります。
愛犬がシニア期にさしかかったら、運動や食事、飼い主さんとの触れ合いを通じて、健康的な生活をさせてあげてください。
あなたの愛犬が健やかで幸せなシニアライフを送れるよう、細やかなケアを続けてあげてください。
普段からのケアが早期発見、早期治療につながるのです。